企業のカーボンニュートラル実現に向けて

カーボンニュートラルって何?

世界で取り組むべき課題、カーボンニュートラル。
「企業として取り組む必要があることは理解しているけど、カーボンニュートラルって、具体的に何をしたらいいの?」
「『二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量をゼロにすること』と言われているけど、どう進めていけばいいの?」

今回は企業のカーボンニュートラルについて、分かりやすく説明します。

企業のカーボンニュートラルのポイント

カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの発生量をゼロにすることです。
企業活動で発生する主な温室効果ガスは、二酸化炭素です。
二酸化炭素は、重油やガスなどの化石燃料の燃焼により発生します。

二酸化炭素発生行動の例

  • 工場で商品を作る場合:重油・ガスの燃焼と電気利用
  • トラックなどの輸送:ガソリン・軽油・ガスの燃焼
  • 業務用の建物:照明の電気利用、空調や給湯の電気・ガス・重油利用

企業のカーボンニュートラルは、エネルギー消費量(二酸化炭素の発生量)を減らすとともに、使用するエネルギーを再生可能エネルギーなど、二酸化炭素を発生しないエネルギーにすることで実現します。

自社の二酸化炭素排出の内訳を知ろう

カーボンニュートラルの実現を目指して、二酸化炭素排出量を減らすためには、現状把握が重要です。
省エネ法※1、温対法※2の報告対象となっている企業は、報告書記載のエネルギー使用量から二酸化炭素排出量を把握できます。報告対象外の企業は、電気・ガス・重油などの請求書に記載されているエネルギー使用量をもとに、二酸化炭素排出量を把握することが可能です。
どのエネルギーが二酸化炭素を多く排出しているのかを把握することで、具体的な対策を検討することができます。

  • ※1「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」
    特定事業者(エネルギー使用量1,500kl/年以上)、特定貨物/旅客輸送事業者(保有車両トラック200台以上等)、特定荷主(年間輸送量3,000万トンキロ以上)が報告義務等対象者となっています。
  • ※2「地球温暖化対策の推進に関する法律」
    エネルギー起源CO2(特定事業所排出者、特定輸送排出者)、エネルギー起源CO2以外の温室効果ガス(特定事業所排出者)が算定・報告・公表制度の対象者となっています。

具体的な対策例

前述のとおり、企業のカーボンニュートラルは、エネルギー消費量(二酸化炭素の発生量)を減らすとともに、使用するエネルギーを再生可能エネルギー等、二酸化炭素を発生しないエネルギーにすることで実現します。
工場では生産ライン、運輸業では輸送など、業態ごとに具体的な対策がありますが、本コラムでは、建物に焦点を当てて具体的な対策例を紹介します。

1.建物の新築時:二酸化炭素排出量を低減する仕様で計画・再生可能エネルギー導入検討

建物新築時の計画によって、建物利用中のエネルギー使用量が決まります。
建築計画や断熱仕様等によって、空調や照明に使われるエネルギー量は大きく異なります。
また、空調システムをどの方式にするかだけではなく、設計や制御によっても、空調で使われるエネルギー量が変わります。
建築計画や空調計画、太陽光発電設備など再生可能エネルギー設置後の仕様変更は、コスト・運用面の負担がとても大きいので、新築時に導入検討を行うことが重要です。

  1. 空調システムの例
    • ■セントラル方式
      • 空冷ヒートポンプ、ターボ冷凍機
      • 吸収冷温水発生機
    • ■個別分散方式
      • ビルマルチ、パッケージエアコン、ルームエアコン
  2. 設計や制御の例
    • 会議室などは使うときだけ空調する
    • 窓際は暖房、人が多くいるところは冷房など、エリアにより設定を変える
    • 部屋によって設定温度を変える
    • 温度によって風量を変える
    • 集中制御をする
    • セントラル方式の場合、インバーターポンプ、台数制御、VAV(variable air volume system)方式などを採用する
    • BEMS(Building and Energy Management System(ビル・エネルギー管理システム))を導入する
  3. 空調によくある問題例
    • パッケージエアコンなので、使用していない部屋も空調がついてしまう
    • 部屋によって温度を変えたいのに、温度を変えることができない
    • 空調が効かない
    • 風が強すぎる

2.設備の更新時:二酸化炭素排出量を低減する仕様で計画・再生可能エネルギー導入検討

空調・給湯・照明の更新方法によって、エネルギーの使用量が変わってくるので、更新により二酸化炭素排出量の削減が可能です。 設備更新で屋上に設置していた機器がなくなる場合には、太陽光発電設備など再生可能エネルギーの導入検討ができます。

3.リース、PPAの活用

高効率機器や太陽光発電設備を設置したいが、まとまった資金がないという場合は、リースやPPAを活用して、初期投資を抑えて設置することができます。

建物所有者はPPA事業者とのPPA契約により太陽光発電システムの設置・保守を受け、太陽光発電で発電した電力分の電気代を支払います。また、不足する電力は電力会社から購入します。
PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)のしくみ

4.補助金の活用

カーボンニュートラル実現には費用がかかります。
政府は、多くの補助事業を実施しています。高効率機器導入や太陽光発電設備などの再生可能エネルギー導入に対する補助金もあります。補助金の活用の検討をしても良いでしょう。

5.生産に用いるエネルギー機器(コンプレッサーなど)更新時

技術は日々進歩しています。機器の劣化も進んでいる場合、更新することにより二酸化炭素排出量を削減できる場合もあります。
コンプレッサーを例にとると、インバーター化が進み、最も使用する容量で高効率となるよう機器を設計するなど、メーカー毎に省エネの工夫がなされています。機器の制御方式も、吐出圧力をコントロールすることにより、省エネ性が大きく向上し、エネルギー消費量も小さくなっています。
エネルギー機器更新時は、新築時と使い方も変わっている可能性もあり、現在の使用状況に合わせて、省エネ性の高いシステムとなるよう検討すると、カーボンニュートラル実現に一歩近づきます。

まとめ

  • カーボンニュートラルは、エネルギーを上手に使うことから始まる
  • エネルギーの見える化、どのようにエネルギーを使っているのか、把握する
  • エネルギーを多く使っている用途(空調・給湯など)を分析し、減らす方法がないか検討する
  • 新築時、設備更新時に、カーボンニュートラル実現を視野に入れた検討をすることが大切

カーボンニュートラル実現のためには、着手できそうなことから始めることが大切です。
現在、電気代・ガス代・燃料代の高騰が経営課題になっています。エネルギー使用量を削減することで、経営改善にも寄与します。
当社では、カーボンニュートラルへの取り組みに対する様々なご提案をさせていただきます。
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